公務員とはいえ、昇給抑制、退職金の減、年金不安など将来に不安のある方もいるでしょう。
若い人ほど将来を考え、若いうちから給与以外の収入源を増やしたいと考えている印象です。
しかし公務員は副業(兼業)をしたくても法律の壁があります。原則禁止です。
この記事では、公務員でも禁止されない副業や、昨今の副業解禁の動きについて説明いたします。
副業(兼業)を禁止とする根拠
国家公務員は「国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当っては、全力を挙げてこれに専念しなければならない(国家公務員法第96条第1項)」とされています。
職務に専念せよということですね。
さらに、同103条では私企業からの隔離を定めています。
職員は、営利を目的とする私企業(以下「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員等を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
要するに、全体の奉仕者という公務員の性格と営利追求目的の企業の役員の立場は相容れないため制限しているということです。
くわえて、同104条では他の事業又は事務の関与を制限しています。
職員が報酬を得て、営利企業の役員等との兼業以外の兼業を行う場合には、内閣総理大臣及び所轄庁の長の許可を要する。
地方公務員についても地方公務員法第38条(営利企業等の従事制限)において同様の規定があります。
任命権者の許可なしに営利企業を経営してはならない。また事務も禁止とする
また、このほかにも、信用失墜行為の禁止、守秘義務、職務専念義務といった原則が国家公務員法及び地方公務員法に定められており、副業を規制してきました。
公務員の副業がバレたらどうなる?
副業禁止を謳っている役所において果敢に副業をして稼いで、何らかの事情でそれがバレたらどうなるでしょう。
フードデリバリーの配達員を行なった消防士さんは減給処分です↓
食事宅配サービスの配達員をして報酬を受け取り、兼業を禁じる地方公務員法に違反したとして、東京消防庁は2日、品川消防署の男性消防士長(45)を減給100分の20(1カ月)の懲戒処分にした。約3カ月間に計約430回配達し、うち38回は新型コロナウイルス対策での在宅勤務中だった。
東京消防庁によると、八王子消防署に勤務していた昨年4~6月に宅配サービスで計約30万円を稼いだ。発覚を恐れ今年3月に自分から申し出た。調査に対し「楽しそうだと思い、やってしまった」と説明しているという。(産経新聞 2022.8.2)
フードデリバリーって地方によっては地域貢献になりそうな気がして個人的にはいいじゃんって思いますが、役所的には自宅で勤務時間内でってところがアウトだったんでしょう。
不動産経営でも懲戒事例をよく聞きます↓
仙台市教育委員会は26日、無許可で不動産賃貸を行い、副業を原則禁止する地方公務員法に違反したとして、市立高校に勤務する50代の女性教諭を減給10分の1(2カ月)の懲戒処分にした。市教委によると、女性教諭は、仙台市内で平成10年に戸建て住宅1棟の賃貸を始め、さらに17年から30年までに集合住宅6棟、戸建て住宅2棟など計11件の賃貸を行い、約20年間で1億9500万円の収入を得ていた。(産経新聞 2020.3.26)
このケースでは減給ということです。
にしても家賃収入が約2億円・・・。ローン返済や経費を除いた後のキャッシュフローがどれくらいか気になるところですね。CFが潤沢であればもはやリタイヤしてもいいんじゃないかって思いますが。
不動産経営については、条件の範囲内では公務員でも許可不要でできるってことは結構有名ですよね。5棟10室以上、年間の家賃収入が500万円以上というのがラインです。これに該当すると事業の自営にあたるということです。前述の事例でも許可を得ないで基準以上の不動産経営をしていたことで懲戒処分となったわけですね。
要するにそれに満たない規模での不動産賃貸であればやってもオッケーということですね。
(1)不動産の賃貸が次のいずれかに該当する場合
イ 独立家屋の賃貸については、独立家屋の数が5棟以上であること。
ロ 独立家屋以外の建物の賃貸については、貸与することができる独立的に区画された一の部分の数が10室以上であること。※人事院規則14―8(営利企業の役員等との兼業)の運用について 第1項関係 二
ちなみに、5棟10室って何の基準?ってことですが、たぶん青色申告の取扱いだと思います。
青色申告をすることで所得税上のメリットがあるわけです。この取扱いにおいて事業的規模と認められると所得控除が大きくなるのですが、その要件が「5棟10室」というものです。
そう考えると副業にあたるかどうかの一つの基準になっていると考えても腑に落ちますね。
どんな副業だったらできるのか?
いわゆる副収入が得られるものとしては、前述した人事院規則14-8が参考になります。
農業、牧畜、酪農、果樹栽培、養鶏等で”大規模に経営され客観的に営利を主目的とする”と判断されない程度のもの(判断が難しいですが・・・)、一定の不動産・駐車場の賃貸、太陽光発電などは許されるわけですね。
また、昨今、公務員の副業解禁の動きが報道されることもありますが、自治体によっては明確な基準を設けて、副業をむしろ推進しているところもあります。
総務省の公表資料「地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について」が参考となりますが、これによると、神戸市なんかが積極的です。
神戸市の地域貢献応援制度は、職員が勤務時間外で、社会性・公益性の高い地域貢献活動をする場合、報酬を得て従事することができるというもので平成29年に始まった制度です。
公務員の中には、地域で活動している方も結構いますが、頑張っていても無報酬で働いている人が多いのですよね。積極的に発信していないだけで身近にもおられるのではないかと。
神戸市のような制度が広がれば無償で地域貢献している公務員の活動が多少なりとも有償になりますから、活動の幅や担い手も増えるのではと思います。ぜひ他の自治体でも採用していただきたいですね。
おすすめ:公務員でもできる「治験」で副収入
公務員の方でも気兼ねなく副収入を得ることができるものとして「治験」があります。
ご存知の方も多いと思いますが、治験とは新薬の有効性と安全性を確認するために行われる臨床試験のことです。
新薬には治験が必ず行われます。実験台になるようなイメージがありますが参加には詳細な説明を聞いた上で参加の可否を自分が決めることができますし、社会にとって必要なものなのでその参加すること自体、大きな社会貢献となります。その治験にボランティアとして参加することで謝礼をいただくというものです。
よく治験は「治験バイト」とか言われることがありますが、バイトではなくボランティアです。労働の対価ではなくあくまでも謝礼で治験協力費や負担軽減費とも言われます。
治験ボランティア参加は負担軽減費(謝礼金)の支給がありますが、法的にはアルバイト/バイトではありませんので報酬という扱いではありません。これは治験参加者の時間的拘束や、交通費などの負担を軽減する目的でお支払いするもので、治験協力費などとも呼ばれています。※医学ボランティア会 JCVN よくあるご質問より
拘束日数・時間にもよりますが、数千円〜数十万円単位の謝礼が受け取ることができるものがあります。
治験に参加するには、病院で疾患を治療している中で医師から紹介されることもありますが、多くは治験ボランティアを募集する企業のサイトに登録して自分ができる治験に参加するっていう流れが多いです。
とはいえ、治験はアルバイトのように毎月毎月稼ぐことができるものではありません。一つの治験に参加中は他の治験には参加できませんし、治験終了後●か月を経過していないとダメっていうものも多いです。
要するに、新薬の開発などの治験で他の薬品の影響などがあると正しい評価が得られなくなるからですね。なので治験のかけもちは禁止されていますので、治験募集企業に黙ってかけもちするのは厳禁です。後でわかって研究結果が誤りだったとなったら数億円規模の研究費が無駄になった!とのことで損害賠償されるかもしれません。
なので、副収入を継続的に得る目的には不向きですが、お小遣い程度にはなるかと思います。管理人である私も過去に治験に参加したことがありますが、血液検査を受けるだけで5千円もらいました。
治験には健康な方を対象としたものや、特定の疾患をお持ちの方を対象とするものなど様々な研究があります。1週間程度の入院を要する治験などは数十万円となります。まとまった休みが取れるのであれば社会貢献しながら副収入を得るいい機会になるかと思います。
治験参加者を募集する企業のサイトをご覧いただくと、どのような治験が行われるのかなどが分かります。
とりあえずボランティアの登録だけしておけば、治験の情報がメールで提供されるので自分でもできそうなものに参加するというように使ってもいいと思います。
よかったらご覧ください↓↓
治験ボランティア無料登録はこちらから
以上、ここまでご覧いただき、ありがとうございました。