公務員のお金

【2019】人事院勧告のポイントは?国家公務員給与引き上げへ

人事院勧告

令和元年(2019)年8月7日、人事院は国会及び内閣に対し、国家公務員の給与の改定を勧告しました。

いわゆる人事院勧告ですね。

今回の記事では人事院勧告の内容と地方公務員への影響についてお話します。

人事院勧告とは?

人事院の給与勧告は、労働基本権制約の代替措置として、職員に対し、社会一般の情勢に適応した適正な給与を勧告する機能を有するものであり、国家公務員の給与水準を民間企業従業員の給与水準と均衡させること(民間準拠)を基本に勧告を行っています。

(人事院HP)

要するに国家公務員の給与を民間企業の給与と合わせるための勧告ということですね。

毎年8月に勧告がされます。

仕組みとしては、まず月齢給については国家公務員給与の調査で調べた国家公務員の4月分の給与と、民間給与の調査で調べた従業員の4月分給与を比較します。

比較にあたっては、役職段階、勤務地域、学歴、年齢を同じくする者同士の給与を比較します。

また、特別給については、民間企業の特別給(ボーナス)の支給割合と国家公務員の特別給の支給月数とを比較します。

さらに各府省や職員団体の意見を聴取したり有識者との意見交換などをして、水準の改定・俸給制度・諸手当制度の見直しを勧告するというわけです。

今回の人事院勧告のポイント

  • 民間給与との較差387円(0.09%)を埋めるため、初任給及び若年層の俸給月額を引上げ
  • ボーナスを引上げ(0.05月分)、民間の支給状況等を踏まえ勤勉手当に配分
  • 住居手当の支給対象となる家賃額の下限を引上げ、その原資を用いて手当額の上限を引上げ

月例給、特別給ともに引上げです。勧告どおりの引き上げとなれば、平均年間給与は2.7万円の増(0.4%)となります。

大卒程度の初任給を1,500円、高卒程度の初任給を2,000円引上げ。さらに、若年層(30代半ば)の号俸を改定するものです。

特別給は0.05月分引上げとなるので4.5月分となりますね。

住居手当は上限が27,000円から28,000円に上がります。

あわせて家賃の下限が12,000円から16,000円に引き上げられます。が、、東京などで働く国家公務員にとっては家賃がそんなに安い人はいないでしょうから影響ないでしょう。

地方公務員への影響は?

国家公務員への人事院勧告といえども、地方公務員の給与と無関係ではありません。

人事委員会が置かれている団体(都道府県、指定都市及び特別区等)においては、人事院勧告の内容と当該団体の民間賃金動向等を総合的に勘案して人事委員会が勧告を行い、国の人事院勧告の取扱いに関する閣議決定を受けて、具体的な給与改定方針が決定されます。

また、人事委員会が置かれていない一般市町村においては、国の取扱いや都道府県の勧告等を受けて、具体的な給与改定方針が決定されます。

いずれも、議会へ給与条例の改正案を提出。改正案の成立後、公布施行となります。

そのため、実際の給与に反映されるのは11月以降ですから、年末から年明け頃に4月に遡って計算された調整額を支給するというケースが多いのではないでしょうか。

給与改定方針の決定にあたって、公務員の給与改定に関する取扱いについて閣議決定がなされます。地方公務員に関係することとしては、以下のような記述があります。

地方公務員の給与改定については、各地方公共団体において、地方公務員法の趣旨に沿って適切に対応するとともに、厳しい財政状況及び各地方公共団体の給与事情等を十分検討
の上、既に地域における国家公務員又は民間の給与水準を上回っている地方公共団体にあっては、その適正化を図るため必要な措置を講ずるよう要請するものとする。また、地方公共団体の適正な定員管理及び人件費の抑制に支障を来すような国の施策を厳に抑制するとともに、地方公共団体に対し、行政の合理化、能率化を図り、適正な定員管理の推進に取り組むよう要請するものとする。(出典元:公務員の給与改定に関する取扱いについて_平成30年11月6日閣議決定)

この閣議決定を受けて、総務省から「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」という通知がなされます。前回は閣議決定と同日の平成30年11月6日付です。

この通知の趣旨は、国家公務員の給与はこう改正したんだから、各地方公共団体においてもそれを踏まえて、地域の民間給与を勘案してちゃんと対処してねってことです。

安易に国家公務員に準拠した改定をすればいいってわけじゃありません。結局は地域の民間給与の実態を勘案するものです。

東京都を例にすると、毎年5月から6月にかけて民間事業所の従業員の給与等を調査し、東京都職員の給与と比較して10月頃に都議会と都知事に対し、勧告(いわゆる「給与勧告」)を行っています。

東京都人事委員会HP_職員の給与決定と算出のしくみ

さいごに

地方公務員の給与がどのように改定されるかについては、10月頃の人事委員会勧告等をよく確認しましょう。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

少しでも参考になれば幸いです。