公務員の働き方

国家公務員定員を5年で3万人超合理化。その内容と地方公務員への影響は?

定員合理化

内閣人事局長から「令和2年度から令和6年度までの定員合理化目標数」が各省長に通知されました。(参考:内閣官房HP_国の行政機関の定員)

今回の記事では内閣人事局長通知の内容と、参考までに地方公務員の定員についての情報をご紹介します。

内閣官房によると、平成16年度以降の定員の推移は以下のグラフのようになります。近年は横ばいといったところでしょうか。

国の定員の推移

定員合理化目標について

内閣人事局長通知の内容は、国家公務員の定員を令和元年度末(2019年度末)の定員から5年間で30,927人を削減・配転するという内容でした。

そもそも定員合理化は「国の行政機関の機構・定員管理に関する方針」(平成26年7月25日閣議決定)に基づくものです。

5年ごとに各省庁別に定員合理化の目標を設定するもので、今回は令和2年度~6年度までの5年間の目標となります。

計画期間中の定員管理は、ICTの活用など行政の業務改革の取組を推進しつつ、計画的に実施することとし、平成 27 年度以降、5年ごとに基準年度を設定し、府省全体で、対基準年度末定員比で毎年2%(5年 10%)以上を合理化することを基本としています。

これによって、今回の通知でも5年間で3万人超、▲10.36%という目標が示されたということですね。

省庁別の合理化目標

内閣人事局長通知による各省庁の合理化目標数は以下のとおりです。

府省名 令和元年度末定員 定員合理化目標数
内閣の機関 1,245 91
内閣府 2,393 259
宮内庁 1,061 64
公正取引委員会 840 70
国家公安委員会 7,975 720
個人情報保護委員会 131 10
金融庁 1,608 144
消費者庁 363 30
復興庁 212
総務省 4,773 503
公害等調整委員会 35
法務省 54,151 5,372
外務省 6,281 645
財務省 72,157 7,162
文部科学省 2,133 219
厚生労働省 31,820 3,394
農林水産省 20,747 2,820
経済産業省 7,990 837
国土交通省 58,496 6,176
環境省 3,173 249
防衛省 20,903 2,159
合計 298,487 30,927

こうしてみると、農林水産省の2,820人、▲13.6%が最も合理化率が高いですね。ちなみに前回の5年間(平成27~31年度)も農林水産省は▲14.2%と合理化目標率が高い設定でした。

新規採用者への影響は?

国の機構・定員管理に関する方針においては、

新規増員は、政府の新たな重要課題に適切に対処するため、政府全体の人的資源の戦略的な再配置を実現する観点から、特に必要が認められる場合に限ることとする。各府省は、既存業務の増大への対応に当たっては、自律的な組織内の再配置によることを原則とし、新規増員は厳に抑制する。

としています。

ただし、これは定員の話ですから「新規採用者を抑制する」ことと、必ずしも直接結びつくわけでないと考えています。

というのも、新規採用者数は、退職者数とのバランスを考慮する必要があります。定員が年2%減ると言っても、退職者数が多ければ新規採用者数は前年よりも増えるということがあり得るでしょう。

また、重要政策に対応するために府省の枠を超えて、大胆に定員の再配置を推進するとしています。新規採用者数も省庁ごとに増減にバラツキが出ることもあるでしょう。

地方公務員の定員への影響は?

地方公務員の定員は、地方公務員法を基本として、各地方公共団体ごとの条例等により決められています。

定員の状況については、毎年「地方公共団体定員管理調査結果定員管理調査」を行い、公表されています。

地方公務員の定員推移

平成30年地方公共団体定員管理調査結果によると、総職員数は、対前年比で約6千人減少し、約274万人。平成6年をピークとして対平成6年比で約55万人減少しています。推移については上のグラフのとおりです。

また、国は地方公共団体定員管理研究会において、それぞれの地方公共団体における平均的な職員数を求めようとする「定員モデル」を参考指標として作成し、地方公共団体へ計算式データの提供を行っています。

実職員数が定員モデルの試算結果よりも少なくなるべきということではなくあくまでも地方公共団体が適正な定員管理を進める上での気づきのための参考資料としての位置づけです。

実際の定員管理については、地方公共団体が主体的に管理しているという形となっています。そのため、今回の内閣人事局長通知による定員合理化目標とは切り離して考える必要があります。

とはいえ、財務省は地方公務員の人数に関し、人口減少を反映して抑制する旨の改革案を提示しています。

今後、人口減少が更に加速し、官民とも労働力不足が深刻化することを踏まえ、地方公共団体の業務・体制を抜本的に見直していく必要。AI活用や業務広域化といった取組を職員数の抑制に着実につなげていくべき。

(参考)例えば一般行政部門の職員について、人口当たりの職員数を一定にした場合、令和7年(2025年)までに約3万人(▲3%)の効率化。

出典元:財政制度分科会(令和元年5月22日開催)資料

地方における人口減少の加速は理解できますが、同時に高齢化も進展しています。高齢化への対応など福祉部門については増員するべきという議論もあります。

国家公務員、地方公務員とも今後の定員については今後の動向に注視しましょう。

今回の記事では、時事的な情報をご紹介しました。

こういった情報は、若手の皆さんが人事や予算等に携わることになった際は背景として押さえておきたいポイントです。積極的にアンテナを高く張りましょう。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。若手公務員の皆さんに少しでも参考になれば幸いです。