この記事では、新人公務員さんが入庁後、最初の1週間のうちにやっておきたいこと、確認しておくといいことをご紹介します。
公務員としての就職が初めての就職となる方にとっては、入庁当初に何をやればよいのか戸惑うことも多いですよね。わからないことが多すぎて何から手をつけてよいのか…と思うこともしばしば。
入庁後の1週間は、新任研修を受けたり、配属された部署で上司や先輩職員から担当事務の説明、前任者からの引継ぎなどの時間があります。ひと通りの説明を受けた後、「じゃあ後は引継ぎ書やマニュアルを読んでみてわからなかったら質問して」と言われてからが担当者としての業務のスタートです。
最初はマニュアルや引継書を読みながらひとつずつ丁寧に事務を覚えていきましょう。しかし、業務以前の話についてはマニュアルにすら記載されていないでしょう。
この記事では、職場のマニュアルには書かれないような、基本的で、始めに確認しておきたいことを紹介します。
仕事に必要な機器の使い方を確認する
電話の使い方を知る
最近は携帯電話が普及したために自宅に固定電話がない家庭も増えています。就職するまで固定電話を使ったことがなく、初めての電話応対に戸惑ったという人の話も聞きました。
電話応対って緊張しますよね。緊張する理由は、電話の内容に対して自分1人では答えられる自信がないからですよね。当然です。
電話を取るのに最初は緊張しますが、上司や同僚は新人の電話応対の積極性を見ているものです。積極的に電話を取るか全然取らないかで大いに印象が変わってきます。
Aさん…パソコンの操作に不安あり、資料の作成はまだ不得意。しかし電話は誰よりも早く取る
Bさん…統計学が専門につき、調査分析能力に長け資料の作成能力も高い。しかし電話を取るのは好きじゃない。
上記のAさん、Bさん(ともに新規採用職員)のどちらが周囲からの信頼が厚いでしょうか?実際に正しい評価をするには半年くらいは必要ですが、初期としてはAさんに好印象を受ける方が多いと思います。(これは夫の職場に採用された2人の新人の例です)
今回は電話対応の基本的なことを説明しますので、率先して電話を取りましょう。きっと最初は自分宛の電話は少ないですから、他の担当者に取り次ぎましょう。わからなかったら保留して上司に任せてしまいましょう。そうやって何度も電話に出ることで、慣れて自信もつき緊張感はなくなっていきます。
また、積極的に電話を取ることのメリットに、自分の部署の業務内容(自分の担当外の業務も)をより早く理解できることがあります。電話を通じてその部署がどのような人・組織と関わり合いがあるのか、どのような仕事をしているのかなどを自然に覚えていきます。自分の担当業務以外の会話の内容も理解できるようになるでしょう。
電話機の使い方
- 内線・外線の発信方法(外線のみゼロ発信?)
- 受けた電話の保留や転送方法(転送ボタン+番号?)
- 電話交換手への転送方法(部署間違いの外線などで一旦交換台の方へ戻す場合)
ファクシミリの使い方
- ゼロ発信かどうかは重要です。誤送信の原因となりますのではじめに確認しましょう。
- 電話やメールと比べても誤発信が起こりやすいです。送信前に宛先をダブルチェックしましょう。
- 送信票(おもて紙)を付ける場合はレイアウトを先輩に確認しておきましょう。
電話応対のテンプレートを作成する
電話応対については、先輩職員などを参考に言い回しを真似てみましょう。自分なりにテンプレートを作成しておくと毎回緊張しなくてすみます。
- (電話の受け方)「はい、○○市●●課、(名前)です」←部署名・氏名をどこまで詳しく名乗るか、長いから略すかなどは配属後、早めに確認しておきましょう。
- (相手が名乗らない)「恐れ入ります。お名前をお聞かせいただけないでしょうか?」
- (別の担当への替わり方)「いつもお世話になっております。ただいま(担当者名)へおつなぎしますので少々お待ちください」
- (担当が自分ではないが不在の時)「申し訳ございません。あいにく(担当者名)は席を外しております(打ち合わせ中です)。こちらから連絡差し上げるようにいたしましょうか?」
- (保留の仕方)「確認しますので、少々お待ちください」
- (周りに助けを求められない場合)「申し訳ございません。確認して折り返しますのでご連絡先を伺ってもよろしいでしょうか?」
電話に出る前に、必ずペンとメモを用意しておきましょう。「誰が」「何の要件で」電話をしてきたのかをメモで正確に把握しましょう。誰に取り次げばいいかわからない電話ばかりですから、近くにいる方なら誰でもよいのでメモの内容を的確に伝えましょう。
コピー機・プリンタの使い方を知る
1人で残業している時に用紙切れや紙詰まりが起きると困ります。基本的な操作方法は早めに覚えておきましょう。補充する用紙、トナー、インクカートリッジなどが保管している場所もあわせて確認しておきましょう。
仕事に関係する人のことを確認する
自分の部署の人の名前・顔を知る
いずれ覚えます。ですが、最初に覚えておくと電話やお客さんを取り次ぐ時に戸惑うことがありません。「○○さん、おはようございます」とあいさつをするときに名前を入れてみましょう。相手の印象も良くなりますし、仮に間違っても笑って許される時期です。
自分のカウンターパートを知る
自分のカウンターパート、つまり仕事上の相手方はどういう人か早めに確認しましょう。
公務員の仕事に対する世間では窓口で住民対応というイメージをされている方が多いように感じますが、窓口対応以外にも内外の人との調整をしながら仕事を進めていくことも多いです。
配属されたら、まず誰が自分の相手となるかは最初に確認しておきましょう。先輩職員や前任者から説明を受けるとは思いますが、できれば具体的に知っておきたいですね。
- どこの部署のどこの座席に座っている人か(直接お会いしてあいさつしておくとその後の仕事がしやすいです)
- 異動されてすぐの場合は前任者の名前も確認(「去年○○さんが担当されていた●●の件で~」といえば話が通じやすいです)
- 差支えなければどんな人か聞いておきましょう(忙しそうな時に声をかけると怒りりやすい など)
仕事に必要な文書のことを確認する
担当する業務に必要な書類の在りかを知る
担当事務を進めていく中で前年度の書類を確認したくなる場面は多々生じます。書類の在りかがはっきりしていない場合、その都度誰かに聞くよりも、最初にすべて確認しておきましょう。
そして、自分がわかる程度でよいのでメモをしておきましょう。
- Aに関する事務… 自席の袖机の下段・件名●●のファイル
- Bに関する事務… 課長席の横の書棚・上から2段目
- Cに関する事務… 庶務係の○さんが保管
なお、本来は組織で共有している文書については、きちんとリスト化され、その所在をいつでも誰でも知りうる状態であることが望ましいです。しかし、必ずしもそうでない職場も多いのが現状です。
配属された部署の文書管理体制に改善の余地があるようでしたら、然るべき時に業務改善を提案してみましょう。(いきなり物申すと、良く思わない人もいるかもしれません。係会などで業務改善の話題となった時に提案するネタの一つとして覚えておきましょう)。
公文書の作成方法を確認しておく
公務員の仕事といえば文書の作成です。配属される部署や職種にもよりますが、毎日のように文書を起案(●●してよろしいかと伺うこと)して決定権者(課長など)の決裁(ハンコをもらう)を経て施行するといった仕事が待っています。
文書は白紙の状態から作成することはまずありません。例年作成しているものであれば前年度のものを参考にすればよいでしょう。新規事業であっても課内の他の事業にかかる文書をベースにカスタマイズすればよいです。(入庁前に公文書の作成についてあまり心配することはありません。)
なお、文書の作成方法(ルール)は役所によってまちまちです。(同じ役所でも部署によってまちまちということもあります)
まずは役所の「文書事務の手引き」等を確認し、一般的なルールについて確認しましょう。
なお、手引きには一般的ルールしか定められておらず、細かい表現などは決まっていない場合もあります。そのような場合に確認しておきたい例としては以下のとおりです。
- 文書の件名(タイトル)はセンタリング(中心揃え)するのか、それとも左端から3文字分を空けた箇所から記載しているのか。
- 本文の冒頭の表現は「標記の件について」それとも「このことについて」など。どのような書き出しをしているのか
- 文字の大きさやフォントに指定はあるのか
- 署名欄(文書の担当者欄)はどこまで詳しく書いているか
配属された部署にある前年度の文書などを参考に書きぶりをつかんでおきましょう。
自分の仕事を管理するツールを用意する
自分の使いやすいToDoリストを作っておく
仕事の進捗管理をしていく中でToDoリストはとても重要なツールです。ToDoリストを使ってきちんと進捗管理している方に締切にルーズな方はまずいません。
リストはどのような形式でも構いません。マイクロソフトアウトルックにある形式でもよいですが、私はエクセルで作成していました。オフラインでもすぐに開けて確認できるからです。
形式も「いつまでに何をやるか」というのがわかればよいので、記入日・内容・期限・備考(関係する人の名前等)をさらっと書くだけでした。エクセルでいえば4列くらいの本当に簡単な表ですので、手帳に書くより早いです。
どのレベルの仕事まで書くかという点ですが、私ははじめは何でも書いていました。例えば入庁してすぐの時期などは、「通勤届を4/7までに庶務係●●さんへ提出」や「○○課の●●さんへ電話」といったようにやることをすべて見える化していました。
仕事をやっていると次から次へとタスクが増えていきます。記憶だけを頼りに後でやろうと思っていても必ずと言っていいほど何か抜け落ちます。
進捗管理は公務員としては基本的なことですが、ベテランでもできていない方もいます。新人の頃から自分が管理しやすいタスク管理を身に付けておくと今後の人生に必ず役立ってきます。
わからないことリストを作っておく
自分で調べてもわからないことは忘れないうちに書き留めましょう。わからないことが多いと何がわからなかったのかも忘れてしまいます。
そうすると自分が確認すべきことが曖昧になってしまいます。先輩から「何かわからないことある?」と言われても、何がわからないのか自分でもわからない状態で、的確な質問ができなくなってしまいます。
わからないことを書き出すだけでも思考が整理されます。ぜひリスト化してみましょう。
(番外編)初日のランチはどうしよう?
初めて職場に行く日、お昼ご飯をどうしようか迷いませんか?
お弁当を持参しても、上司や同僚がランチに誘ってくれるかもしれない。かといって何も用意せずに誘われなかったとしたら何を食べよう、食堂もあるけど混雑状況も知らないし、周辺の飲食店もよく知らないしランチ難民になってしまうかも…
これは私の例です。就職した時もそうですが、異動して新しい職場に初めて出勤する度に迷うポイントです。
そこで、初日のランチに最適な準備は「その日に食べてもいいし、食べなくても翌日以降のランチにできるもの」です。ほぼ菓子パンしかないですが(笑)
初日はこれ!と自分の中で決めておけば迷うこともありませんのでおすすめします♪
おわりに
以上、最初の1週間でやっておくといいこと(確認しておくといいこと)を紹介しました。
[box03 title=”やっておくといいこと”]- 電話・ファクシミリの使い方
- 電話応対のテンプレート
- コピー機・プリンタの使い方
- 部署の人の名前・顔を把握
- カウンターパートの把握
- 書類の保管場所
- 公文書の作成方法
- TODOリストの作成
- わからないことリストの作成
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
この記事が新人公務員の方に、少しでもお役に立てれば幸いです。皆さまがそれぞれの職場で御活躍されることを願っております♪