世間の公務員に対するイメージといえば、仕事がわりとで残業は少ない。
実際はどうでしょうか。
これから公務員になる人にとっては超過勤務や休日出勤などは気になるところですよね。
この記事では、公務員の休日出勤等について紹介します。(休日に行う公式行事や選挙等の出勤等ではなく激務なゆえの休日出勤を取り上げています)
まず申し上げたいのは、平日の残業にとどまらず休日も働いているという公務員はまだまだ存在しています。ですが休日勤務に関する公的なデータはありません。(超過勤務などは国家公務員、地方公務員とも給与等実態調査などで調べることができます。)
実態については筆者自身の体験や知り得る情報を踏まえた主観で説明している点にご留意ください。
そもそも休日とは?土日は休日ではない?
休日勤務の実態の前に、そもそも休日勤務の定義を押さえておきましょう。
休日とは広い意味では単に休みの日ですよね。ですが規定上、土曜日・日曜日は休日ではなく週休日といいます。以下のように覚えておきましょう。
土曜日、日曜日 ・・・ 週休日
祝日、年末年始 ・・・ 休日
「週休日」は勤務を割り振られませんから勤務を要しない日です。
国家公務員は「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」が根拠とされます。
(週休日及び勤務時間の割振り)
第六条 日曜日及び土曜日は、週休日(勤務時間を割り振らない日をいう。以下同じ。)とする。ただし、各省各庁の長は、再任用短時間勤務職員については、これらの日に加えて、月曜日から金曜日までの五日間において、週休日を設けることができる。(一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律)
「休日」とはいわゆる祝日(国民の祝日に関する法律に規定する日)、年末年始で条例に定める日ですので労働基準法上の休日とは異なります。同法では以下のように定められています。
(休日)
第十四条 職員は、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日(以下「祝日法による休日」という。)には、特に勤務することを命ぜられる者を除き、正規の勤務時間においても勤務することを要しない。十二月二十九日から翌年の一月三日までの日(祝日法による休日を除く。以下「年末年始の休日」という。)についても、同様とする。
地方公務員の場合は、それぞれの自治体の条例で定められています。内容的には国家公務員と同じと考えてよいでしょう。
ちなみに、なぜ週休日と休日の違いを押さえておく必要があるかといいますと、週休日と休日では給与の取扱いが異なるからです。
土日の勤務は「時間外勤務手当」、いわゆる超過勤務手当ですね。一方、祝日勤務は「休日勤務手当」となどといいます。
祝日の勤務は注意が必要です。
ここでピンときた方もいるでしょう。
時間外勤務手当と休日勤務手当では予算上の項目が異なるものです。祝日の勤務に対して通常の超過勤務と同じ予算項目から支出することはできないのです。
この点は、庶務担当者が誤って支出してしまい監査等で指摘されるよくあるパターンです。
「時間外勤務手当」の予算はあっても「休日勤務手当」の予算は配賦されていないという部署もあるでしょう。
そんな部署ですと、祝日勤務をしようとすると上司や庶務担当から苦い顔されることがあるかもしれません。それは休日勤務手当を支給する予算がなくて予算担当部署と調整が必要となるからですね。
なので祝日に勤務をする場合は、あらかじめ上司か庶務担当に大丈夫か確認しておきましょう。
週休日や休日に勤務をした場合の手当は?
週休日を他の平日と変更したり、休日を他の平日に振替える場合、いわゆる代休を指定することもあります。
そのように休みを振り替えることなく働くこともあるでしょう。その場合は手当が支給されることとなっています。
手当の計算は、1時間当たりの給与額×支給割合×勤務時間数で算出します。
支給割合は、正規の勤務を割り振られている平日に残業する場合、125/100です。
一方、週休日の支給割合は135/100となります。
休日勤務手当も同様の計算式で支給割合は135/100です。
要するに働く側の人間からすると週休日も休日も、もらえる額は同じということです。
(実際は勤務する時間帯(22時以降など)によって支給割合が変わります)
休日勤務(週休日含む)はどれくらいある?
では、実際に休日勤務はどれくらいあるでしょうか。
(ここからは週休日も休日という扱いで説明します)
超過勤務の状況は公表されていますが、休日勤務の実態については公式なデータはありません(把握する限りにおいてですが)。
超過勤務については、平成31年度国家公務員給与等実態調査によると、平均年間超過勤務時間数は本府省で356時間、本府省以外で198時間。
本省の平均で356時間。。月平均30時間というところでしょうか。この数字なら休日勤務はないだろうと推測できそうですよね。
一見、常識的な範囲に見えます。
しかしながら、各部署で国会対応や予算折衝に携わるような方においては、まったくあてはまらないように思えます。
実態として月200時間超の職員は一定数存在しています。
10年以上前の話ですが、わが家の夫についても予算要求時期は200時間に達することもありました。
平日だけで月200時間の残業するとなると毎日9時間以上。。現実的ではありませんよね。
平日の超過勤務でも対応しきれない分を休日に出勤して作業している人もいることは推測できます。
また、地方公務員であっても本庁の部署によっては激務です。休日勤務もありえます。
政令指定都市、一般市においてもあります。
実際、公務員時代にカウンターパートだった市役所の方から土日にメールが届いていることもありましたから。
働き方改革、ワークライフバランスの推進を求められている2019年においても、悲しいことにこれが現実です。
自分が入庁する役所の実態を調べるには?
内定者の方などは気になりますよね。超過勤務や休日勤務はどれくらいだろうって。
たとえば東京都庁。休日も庁舎は一般の人も入れますから自分の目で確認できます。休日なのに執務室へのエレベータへのゲートを通過していく人は休日勤務ですね。
休日に一般開放されていない役所の場合はどうやって確認しましょうか。
その場合は、役所の通用口の近くにお昼時に1時間くらい張っていればだいたいわかります。疲れた顔でコンビニで買ったお弁当を持って役所に入っていく。そんな人は休日勤務の人だと推測できますよね。
ちなみに、霞ヶ関は毎晩遅くまで部屋の照明が点いていることから不夜城とよばれていますが、土日の夜でも点いている部屋が見受けられます。
さいごに
まだまだ残業も休日出勤もゼロとはほど遠い状況です。
働き方改革を推し進め残業ゼロを目指す人がトップについたからといって残業はなくなりません。
仕事の物量、人員、それから現場の担当者のマインド。その3つによるところが大きいでしょうから。
若手公務員という立場の人にとっては、目の前の仕事の量を減らしたり係の人員を増やすということはどうにもなりませんよね。
できることは「早く帰るし休日は休む」を一緒に働く人たちとの共通認識とすることでしょうか。
一昔前に比べると少しずつですが、超勤や休日出勤することは異常だということ、別に格好良いことではないというマインドが少しずつ若い人に浸透しつつある気がします。
そんな考えの人が一人でも増えることを願っております。
毎晩遅くまで頑張って働いている方、休日も働いている方々へ。
本当にお疲れ様です。貴方たちの能力の問題ではありません。他律的な要因であることが大きいのでしょう。
ですが、心身の不調や仕事のミスが増えているようでしたら、思い切って仕事を休んでみる、異動を願い出てみる、転職を検討してみてはいかがでしょうか。
組織としても、優秀な人が減っていくのは看過できないはずですから。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。