公務員賠償責任保険とは?若手公務員に必要な保険?

公務員の業務上の行為で訴訟を提起された場合に備えるための「公務員賠償責任保険」を知っていますか?

訴訟費用保険ともいいますね。

この保険、募集案内は見たことあるけどよくわからないって方も多いのではないでしょうか。

職場でもあまり話題にあがりにくい保険です。

それだけに、どんな保険なのか、どれくらいの人が加入しているのか気になるところですよね。

そこで、今回の記事では公務員賠償責任保険の内容について紹介いたします。

公務員賠償責任保険とは?

公務員賠償責任保険の概要、保険料や加入率などについて説明します。

公務員賠償責任保険の概要

公務員賠償責任保険は、公務員がその業務につき行った行為(公務)に起因して訴訟を提起され、損害賠償請求等がなされた場合に、職員個人が負担する損害賠償金や争訟費用(弁護士費用等)を補償するものです。

補償の内容は各役所で取り扱われる保険の内容をよくご確認いただきたいところですが、一般的には、住民訴訟、民事訴訟どちらも補償される点や対人・対物事故、名誉棄損、プライバシーの侵害等に関する損害賠償金も補償される点が特色です。

ただし、被保険者の犯罪行為に起因する損害賠償請求や、法令に違反することを被保険者が認識しながら行った行為に起因する損害賠償請求等には補償されません。

また、役所で働く一般の公務員のほかにも教員や公立病院の医師などにも、同じようにその職務に起因した損害賠償金等を補償する保険があります。

事故の具体例

職務上の行為として損害賠償請求される事故としては、つぎのような例が想定されます。

住民訴訟において…

  • 議会の議決を経た●●に対する補助金交付が不当であるとして、補助金担当職員の行為について住民訴訟が提起された
  • 議会の議決を経た公有地の売却が著しい廉価で行われたことについて担当職員の行為について住民訴訟が提起された
  • 役所の備品について市場価格に比べ著しく高値で購入したことについて住民訴訟が提起された

民事訴訟において…

  • 個人情報を誤って開示し、プライバシーの侵害として訴えられた
  • 窓口の対応に問題があるとして来訪者に名誉棄損で訴えられた

公務員賠償責任保険の保険料は?

一般の公務員については毎月の掛金は非常に安いです。1か月あたり4~500円程度、年間5~6千円程度です。

たとえば、埼玉県市町村職員共済組合が取扱う保険は、争訟費用保険金500万円、損害賠償保険金5,000万円などの補償で、保険料は月額510円と安いです。

しかし、首長(市長や知事など)は桁違いに高いです。知事などは1年あたり200万円以上かかります。一般職員よりも訴訟リスクがとても高いためですよね。

公務員賠償責任保険の加入率は?

じゃあ一般の公務員のうち、どれくらいの人が加入しているのかという点が気になりますよね。

私が働いていた役所では、毎年ある時期になると公務員賠償責任保険の募集がありました。

加入した人には加入者証が後日配布されるのですが、その職場では庶務担当の方が手渡しで配布していたので、「あの人加入しているんだ」ってわかりました。

印象としては、全員ではないですが、少なくはない割合の人が加入していたように記憶しています。

公表されている情報では明らかではありません。ですが、東京都の教職員については4割以上が加入しているという情報がありました。

さいごに。公務員賠償責任保険には加入するべき?

わが家は「若手公務員に生命保険や医療保険は基本的に不要と考える理由」で説明しているように、生命保険や医療保険については加入する必要性は低いと考えています。

一方で、公務員賠償責任保険については加入すべきという方針です。

理由は保険料がとても安いってことだけではありません。

あくまでも、わが家における考えとしてご理解いただきたいのですが、

生命保険や医療保険というのは、事案が生じたときに身内以外の人に何か影響があるかというと、特にないですよね。自分でなんとかすればいいだけで、なんとかならなかったとしても自分たちが困るだけです。

一方、自分の行為で他者に迷惑をかける場合についてはそうはいきませんよね。損害賠償請求を受けて賠償できなかったら自分たちが困るばかりでなく、被害を受けた人も困ってしまうわけです。影響は身内にとどまらないってことです。

ですから、他者への損害を与える行為については最低限の保険を掛けておこうというのがわが家の方針です。まさに自動車保険や自転車保険に加入する理由がこれにあたります。

また、日常生活に起因する事故(家族が他人にケガをさせてしまった、物を壊してしまった)に関する保険は、火災保険の特約でカバーできていました。

しかし、業務上の行為に起因する損害について何ら保険がないのはまずくない…?ってことで加入したという次第です。

1回のランチ代程度の保険料ですから、生命保険や医療保険と比べても加入しやすいですよね。

加入していない方は、一度真剣に考えてみるとよいでしょう。

ここまでご覧いただきありがとうございました。

若手公務員の方にとって少しでも参考になれば幸いです。