【トラブル解決・生産性の向上に】若手公務員が理解すべき情報共有の重要性

この記事では、公務員の仕事に欠かせない「情報共有」の重要性について説明します。業務経験の浅い新人や若手公務員こそ理解しておきたいポイントです。

「ほう・れん・そう(報告・連絡・相談)は社会人の基本」といわれるように、どこの役所も情報共有の取組みは行っています。朝礼での業務の確認、係単位の定例会議、メール、SNSなど情報共有の方法は組織や職場によって異なります。私の職場では定期的に係会を開き、各係員の抱えている業務とその進捗状況を発表していました。

しかし、情報共有がうまくいかないことで生じるトラブルや業務の遅滞もなくなりません。情報共有がうまくいかないというのはどこの役所、職場でも共通の悩みです。

情報の伝達ミスによる無用なトラブルを防止するためには、組織のメンバーが情報共有の重要性を理解しておくことが必要です。

そこで、新人や若手公務員の方に理解していただきたいこととして、なぜ情報共有が必要なのか、情報共有をするとしないでどのような事態につながるのか、誰に、いつ、どのように情報共有をすればよいのか?とった視点から情報共有の重要性について解説します。

そもそもの話。情報共有の目的について

そもそもなぜ情報共有をするのか?その目的について理解しましょう。ここでは若手公務員向けということで、係内における仕事の進捗状況を主なテーマとした情報共有について考えます。

[box03 title=”係内における情報共有とは?”]
  • 誰が何をやっているか把握する
  • 進捗状況(仕事がどこまで進んでいるか)を把握する
  • 業務に遅延や問題が発生していないか確認する

⇒つまり、各人の仕事や持っている情報を「見える化」すること[/box03]

もし、係のメンバーに万が一のことがあっても他の誰かがフォローする。今日自分が倒れても、明日も普通に業務が回る職場をつくることが役所における情報共有の大きな目的です。日頃から情報共有ができていれば、自分じゃなくても業務はできるのです。

役所の仕事が滞ると住民の生活に直接影響が及ぶこともあります。それだけに公務員こそ情報共有が大変重要となるのです。

情報共有をするメリット

トラブルに迅速に対処できる

日頃から情報共有ができていると問題が起こった時も組織として迅速に対処することができます。逆に情報共有がうまくいっていないと、問題が起きても担当者が抱え込むことで対処が遅れ、事態を悪化させる。業務の遅滞や手戻りが発生することもあります。悪いことこそ早く相談し共有しましょう。その方が解決策も早く生まれます。

生産性の向上につながる

また、情報は個人的に抱えているよりも組織で活用した方が良い場合が多いです。共有することで、自分の視点では気づけなかったことなどがわかる。新しいアイデアが生まれる。といった生産性の向上にもつながります。

「その話、もっと早く教えてくれればもっと効率化できたのに!」と言われないよう、持っている情報は開示していきましょう。

コミュニケーションが活性化され業務が円滑になる

何より、職場のコミュニケーションが活性化されて関係が良好となることで働きやすくなります。組織で働く人間としてはこれは大きいですよね。

日頃から何でも相談できる職場は、メンバーがわからないこともすぐ相談でき、他の誰かがすぐ教えてくれます。業務が円滑となり、良い仕事も生まれやすいでしょう。


情報共有がうまくいかない要因とその対策

自分が情報共有が大事だということは理解していても、実践に至らない職場があるのも事実。その要因について考えましょう。

メンバーが情報共有の重要性を理解していない

「自分の仕事なのだから、自分がわかってればいいでしょ」と考える人。自分の把握する情報は自分だけが知っていればいいという考え方は、もし自分に何かあった時を想定していませんよね。つまり、前述した情報共有の目的と理解していないことになります。

こうしたケースでは、係内であらためて情報共有の重要性を周知徹底することが求められます。若手公務員の立場から業務の効率化という視点で情報共有を提案しましょう。

情報を伝えたつもりが伝わっていない

上司から部下への指示や部下から上司への報告などを口頭のみで行い、その後のフォロー(確認)をしない。これでは情報を伝えたつもりが伝わっていないことも起きます。

こうしたケースのように、情報共有を口頭で行う場合は、お互いが指示・報告を受けた情報を確認をする習慣をつけましょう。

若手公務員の皆さんとしては、上司から指示を受けた際「それは●●ということですよね」など、指示に対するリアクションをしましょう。それで上司も指示が伝わったか理解できます。また、報告や相談をした際は業務日誌等にその内容を記録しておきましょう。文字に残しておくことで後から見返すことができ、言った言わないの水かけ論を避けることができます。

そもそも情報への理解が足りない

メンバー自身が見聞きした情報について、自分や係の業務にどう影響するのか理解できていないケースです。理解していないからうまく伝え方がわからない、伝えられないということですね。

こうしたケースには、「よくわからない情報」でも共有するというルールを作りましょう。メンバーが情報を開示しやすくなります。自分が理解していなくても他のメンバーが理解していることもあります。わからないことをそのままにしておくより、共有することで理解が深まり勉強できます。若手のうちこそ、わからないことを共有しましょう。

情報共有をすべき範囲(だれに?いつ?どうやって?)

情報共有といっても誰に、どの程度の情報を伝えるのかということは部署や立場によって異なります。例えば、ある係員の休暇の予定はその係内では重要な情報かもしれませんが、役所のトップが把握すべき情報かといったら違いますよね。職位が上になるほど入ってくる情報も増えますから、共有すべき情報もある程度絞られていきます。

ここでは若手公務員が情報共有する際の範囲について説明します。

所属する係(直属の上司と同僚)

係内で共有すべき情報は、自分の仕事の進捗状況、抱えている課題、トラブル、業務を進めるうえでわからないこと、心配事、出張の予定、休暇の予定など業務に関わるすべての情報を共有すべきです。ただし、プライベートな話(妊娠・出産・結婚等)まですべて共有することはありません。必要に応じてまずは直属の上司である係長止まりで報告しましょう。

情報共有の方法ですが、リアルタイムで共有することが望ましいです。係内で業務日報を書く習慣があるのであれば、日報を電子化して共有のフォルダに保存しておきましょう。ポイントは情報を誰でもいつでも確認できる状況に置いておくことです。

以下の記事で日報を共有して活用することをおすすめしています。参考にご覧いただけると幸いです。

【若手公務員】スケジュールの共有にも!日報は電子化して共有しましょう!

 

職場の長(課長)

基本的には課長への情報共有は係長が行います。一般的には、係長をトップとした係会があるように、課長をトップとした課の定例会もあります。課長へ共有すべき情報は係長以上の会議で共有されることが多いです。

しかし、係長が休暇などの不在時にトラブルが発生した場合、それは迷うことなく課長に報告しましょう。係長が来るまで待つ必要はありません。

自分に落ち度があるトラブルなどはなかなか言い出しにくいですよね。しかし、問題を早く解決するためには、悪い情報こそ早く上にあげる必要があるのです。

情報の伝達方法は、課長と直接話せる状況であれば口頭で、課長が忙しく席を外しがちであればメモを見えるところに置いておき、後で口頭でも確認するといったように確実に情報を伝達する手段をとりましょう。

関係する他の部署

業務上で連携が必要な部署については、必要な情報を適時適切に共有しましょう。具体例で説明します。

例えば、自分の係は市における防災の事業推進部署だとします。そこに国が補正予算で今年度限定で公共施設のブロック塀の耐震化事業に補助金を出すという情報が入りました。こうした情報は事業を所管する省庁から都道府県の所管部署へ、都道府県を通じて区市町村の所管部署へと情報が伝達されます。所管部署のほかは情報を知りえないという場合もあります。

このとき、自分の部署が共有すべき範囲として考えられるのは、財政担当部署。いくら補助金が出るといっても事業の推進には予算が必要です。自治体としても補正予算を組む必要があるかもしれません。まずは財政担当部署との相談をしましょう。

また、ブロック塀の補助対象が公共施設であるならばその自治体が設置している公立学校も対象となります。学校のブロック塀も耐震化する必要性が高いかもしれません。学校を所管する教育委員会事務局に対しても情報を周知しましょう。

つい、このように関連する部署にも情報を展開する視点を持ちましょう。情報共有方法として考えられるのは、メールでの展開が基本です。国からの通知や事務連絡はほとんどメールで届きます。関連する部署を漏れなく宛先に入れて送りましょう。緊急性のある案件は時間をもらって直接口頭でも説明しましょう。


未来の担当者への情報共有【重要】

実はこれが結構重要です。

組織における業務の効率化を継続的に行っていくうえでは、情報共有は現在の組織だけの話と考えるのではなく、必要な情報は自分の後任にも共有するという意識が必要です。

この考え方がないと、将来の担当者は今の自分と同じことでつまづくことがあるかもしれません。担当者が変わるたびに同じ失敗を続けていたら、いつまでたっても業務は効率化されず、このブログが目指す長時間労働の是正にもつながりません。

仕事をする上では、どうしたら次の担当者が楽をできるかという視点をもちましょう。「自分が苦労したのだから後任にも同じ苦労をしてほしいなどと考えず、必要な情報は将来の担当者にも的確に共有していきましょう。

以下のイメージのように、現在の部署での上司・同僚とのタテ・ヨコという平面的な情報共有にとどまるのではなく、将来の部署へも情報共有をするという「時間軸」を含めて考えることが重要です。

情報共有の図

情報共有の方法としては、引継ぎ書に必要な情報を盛り込む、業務日誌等を後年度の担当者も見れるようにするといった方法が考えられます。

まとめ

組織にとって情報共有は、課題やトラブルを早期に解決するという「守り」の効果もありますが、蓄積された情報を組織で共有し活用することで生産性を向上させるという「攻め」の効果も期待できる仕組みです。

その重要性を理解し、新人・若手公務員の方も日頃から情報共有を念頭において仕事をしましょう。

情報共有をすべき情報かわからないと思ったら、この記事の前半に説明した「情報共有の目的」を思い出しましょう。自分が明日出勤できなくなっても職場の業務が滞らないようにチームのメンバーに知っておいてほしいことかという基準で判断しましょう。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。若手公務員の皆さまが情報共有の重要性を理解し、それぞれの職場でご活躍されることを願っております♪