【定年退職】地方公務員の退職金はどのくらい?(都庁の例で試算しました)

当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

この記事では、地方公務員の退職手当としまして、公開情報が充実している東京都庁を例に試算した内容をご紹介します。

この記事で試算した退職手当額は公表されている範囲の情報において、自分なりの理解のもとで試算しております。将来の支給額を保障するものではございませんのでご自分で試算される際の参考程度に考えていただければ幸いです。

地方公務員の退職手当

地方公務員の退職手当については、地方公務員法第24条に基づき、国家公務員の制度や民間企業の給与等の事情を考慮することとされています。

<地方公務員法第24条2項>

職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない。

ですので、当然ながら各自治体が好き勝手に決められるわけではないのです。

では、平均的な支給額はといいますと、

総務省「平成29年地方公務員給与実態調査」、第9表の1「団体区分別,職員区分別,退職事由別,年齢別退職者数及び退職手当額」によりますと、一般行政職員の定年退職(25年以上勤続後)の場合の1人あたりの退職手当額は2,286万円でした。

一方、民間企業はというと、中央労働委員会「平成29年退職金、年金及び定年制事情調査」によりますと、大卒総合職相当の定年退職の場合で2,694万円です。

ただ、中小企業の場合はこれより1千万円以上下がるとのことですから、地方公務員の退職手当はまだまだ手厚いといえるのではないでしょうか。

(都庁の例)退職手当=退職時給料月額×支給率+退職手当調整額

東京都人事委員会の公表している例にあてはめて試算しました。

退職手当 = 退職手当基本額(退職時給料月額×支給率)+退職手当調整額

(給料の調整額や教職調整額を受給していた期間がある場合は加算がありますが、今回の試算には含めておりません)

下線部を順番に見ていきましょう。


退職時給料月額とは?手当は含まない?

まず、退職手当基本額のベースとなる退職時の給料月額ですね。

給料という言葉の意味ですが「給料+諸手当=給与」ですから、「給料月額」には諸手当は含まないものと考えます。

給料月額は人事委員会の公表している給料表で確認できます。

退職時の役職等によってバラつきがありますが、ひとまず管理職にならないケースで考えましょう。

当ブログでは、【都庁の例】地方公務員の管理職と非管理職の収入はどれくらい?【年次別に試算】において非管理職の退職までのシミュレーションをしております。

せっかくですので自分なりに試算させていただきます。

非管理職の生涯年収

このケースでは60歳定年、課長代理で退職することを想定しています。

ということで、退職時給料月額は40万9,400円としましょう。

支給率とは?

支給率は退職までの勤続年数で求めます。

支給率

(表の出典元:東京都人事委員会HP)

現在(2019年度)は43カ月が上限ですね。

仮定の勤続年数は38年ですから支給率は43.0となります。

ちなみにこの支給率、数年前までは50カ月を超えておりましたが、縮小傾向です。

内閣官房の平成29年度民間企業における退職給付制度の実態に関する調査研究報告書によると、平均支給率は定年退職の場合で43.8カ月分というデータがございました。

民間事情を考慮しているということなのでしょう。

正直、支給率が今後上がっていくことは考えにくいです。定年延長の議論も注視していく必要があります。

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退職手当調整額とは?

退職手当調整額は、退職前240月分の職責点数合計×単価で求められます。

240月といいますと20年分ということですよね。

東京都人事委員会によると、1点の単価は1,100円、そして1月あたりの点数は下表のとおり、役職ごとに異なります。

職責点数(表の出典元:東京都人事委員会)

仮定のケースでは20年前の役職は課長代理です。退職まで課長代理のままという想定です。

すると点数は表の第4号区分の20点ですね。職責点数の合計は20点×240月=4,800点となります。

以上により、退職手当調整額は4,800×1,100=5,280,000円となります。

試算結果 2,288万円ほどになりました

ここまでで試算した数値をおさらいしますと、

  • 退職時給料月額 409,400円
  • 支給率 43.0
  • 退職手当調整額 5,280,000円

となりましたよね。ここで以下の式にあてはめてみましょう。

退職手当 = 退職手当基本額(退職時給料月額×支給率)+退職手当調整額

⇒ 退職手当基本額(409,400×43.0)+退職手当調整額(5,280,000)

=17,604,200+5,280,000

22,884,200円という結果になりました。


さいごに

都庁の例で試算した場合の退職手当2,288万円というのは、冒頭にご紹介しました「平成29年地方公務員給与実態調査」による1人あたり退職手当額の2,286万円とほぼ一致します。

そう考えると、都庁で定年まで管理職とならずに働き上げた際の退職手当は地方公務員の平均程度にはなるだろうと推測します。

管理職となる場合の退職手当については、【都庁の例】地方公務員の管理職と非管理職の収入はどれくらい?【年次別に試算】における管理職のシミュレーションを参考に前述の方法で試算していただければだいたいの金額を求めることが可能です。

とはいえ、今回の試算はあくまでも現時点での前提条件によった推計に過ぎません。国や民間企業次第で給料月額や支給率は変動する可能性も十分あります。

今後の動向にも注目していきましょう。

ご覧いただきありがとうございました。若手公務員の方がライフプランを考える上で少しでも参考になったらうれしいです。

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当ブログの試算は、公表されている情報の範囲で筆者の理解のもと、試算したものです。できるだけ正確に計算しているつもりですが、正確性等を保障できるものではないことをご理解ください